365のお題:26-30



26.尻尾

 しっぽはえたしっぽ
 しっぽふったしっぽ
 しっぽとれたしっぽ
 しっぽすっぽぽーん

2011/03/04/fri


27.キラキラヒカル

「自由律俳句(独唱)」

 いなずまが避雷針を選り好みしてる

 常に「俺はね」から会話が始まる

 やはり、部屋が片付いてない
 
 手作りの木琴ひびく夜の底

 銀河鉄道はまだこない

 「このゆびとまれ」指先がもみじに染まる

2011/09/26 mon


28.薔薇色

 でも今はこんな風だから、もうなにもかも遅いんじゃないのかな。そういうと、ふーちゃんは鉄棒に飛びついて、くるんときれいな逆上がりをした。そんなだから、わたしは少々はらはらした。目を回しやしないだろうか。ふーちゃんは三べん連続逆上がりをして、最終的に「こうもり」の姿勢になった。
 スカートがまくれるよ、ふーちゃん。
「いいの。こうやって膝の下にはさんじゃうのよ」
 ふーちゃんがそう言うと、スカートはほんとうに大丈夫だった。わたしが案じたようには、まくれなかった。ふーちゃんのスカートは膝の下まであり、それは比較的長いスカートではあるので、そのように膝のしたに挟むことだってできるのだ。
 ふーちゃんと長いスカートは良く似合う。
 月が出ていた。夜なのだった。あちらこちらで街灯がまばたきした。滑り台が偽物っぽく光っていた。鉄棒はふーちゃんにはちいさすぎた。もうすこしでも何かのバランスが崩れたらば、あたまをしたたか地面にぶつけてしまうんじゃないかと、ふーちゃんが逆上がりをするたびに、わたしは始終、はらはらした。
「逆上がりでも、したくなっちゃうわよねえ。」
 そう言って、ふーちゃんはおもむろに逆上がりを始めたのだった。
 わたしはブランコをこいだ。力の限りこぎまくった。ブランコが宙返りしちゃえばいいのにと思った。背中を反らせると、真上に丸い月が見えた。
 満月は世界の出口――。
 誰のことばだったろう。
 わたしはふーちゃんの赤ちゃんのお父さんについて考えた。ふーちゃんの赤ちゃんのお父さんはその朝、家をでたきり帰らなかったのだった。ふーちゃんの生理が止まって四ヶ月目のことだった。
 ふーちゃんは、そのことについて何も言わなかった。ただ、コップから水滴がこぼれるみたいに、ああ、もう、とつぶやいた。
「あたしたち、年、とったねえ。年、とっちゃったのよねえ」
 ふーちゃんは、ぐるんぐるんと逆上がりをした。ふーちゃんによく似合う、ダイナミックな逆上がりだった。
「赤ちゃんは、だいじょうぶかしら?目を、回さないかしら?」
「誰の子だと思ってるのみうちゃん、大丈夫にきまってるわよこのくらい。」
 ふーちゃんはそれから何度も逆上がりをした。
「みうちゃん、あたし、幸せなのよ」
 知ってるよ、ふーちゃん。
「つよがりじゃなくて、ほんとよ」
 分かってるよ、ふーちゃん。
「ねえ、みうちゃん。満月の夜に、赤ちゃんは生まれるのよ。あたしが生まれたのも、こんな夜だったのよ」
 ふーちゃんは再び「こうもり」になった。街灯がふーちゃんの横顔を照らした。ふーちゃんはこんなとき、ドラマのヒロインのようなぽたぽたした涙をこぼしたりはしないけれど、わたしはわたしが、女の子であることを悔やんでいた。
 星はなかった。満月だけが、ぽっかりと空にあった。

2011/09/28 wed


29.息も絶え絶え

俺「このサイトの更新のことかァァァァ!」

2012/01/15 sun


30.納得行かない

 ぜんたい、どうして今の自分は自分なのでしょう。
「そんなことを考える暇があるならあるきなさい」
 教授はそう言って、さっさと自分のサーフボードでビッグウェンズディの向こう側に旅立った。教授はそういう人だった。わたしは自分の貧相なローラースケート(車輪がひとつとれている)をみおろした。たしかにこれじゃあ、歩くよりどうしようもなさそうだった。しかもこれだって妹のおさがりで、妹はとっくの昔にトヨタのPASSOに乗り換えていた。
 でもまあ、ないよりましだ。
 それに、そのうち、ローラーブレードでも見つけるかもしれない。

 あ、キックボードでもいいな。

2013/02/24 sun